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劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語 感想

 まどかマギカ叛逆の物語見てきました。あまりにも凄かったので4回見てきました。
 感想ですが全力でネタバレなのでご注意を。












■できれば初日に行きたかった……

 本当に映画館で見て良かったと思えるアニメ映画でした。
 衝撃的な内容で、他のお客さんの反応も楽しめたからです。

 今回の映画ですが、見る前に仕入れた情報は「新しい魔法少女が出る。なんか羽入みたいな奴」というだけ。
 しかし、劇場版総集編の「永遠の物語」の後に流れた予告映像をみた段階で、だいたいストーリーの予想はつきました。
『ほむらさんがまどか欠乏症で発狂し叛逆してしまう話』
 この心構えがなかったら、もしかすると3回くらい見なければじっくり堪能できなかったかも。



■アバンタイトル~OP
 劇場版総集編前編「始まりの物語」とほぼ同じ流れで進みます。
 セリフとか一部カットとか違うけど、それ以外はほぼ同じ。たぶん描き直してるんじゃないかなとは思いますが、正直見比べてみないとわからないです。
 そしてOP。新曲「カラフル」に乗せて流れる映像が、幸福な毎日からの別れを表現していて衝撃的。
 特に他の魔法少女が楽しく踊ってるときに、ほむらが一人だけ膝立ちで呆然としてるカット。なんかまるで悪質なMADのようで、劇場であちこちから引きつった笑い声が聞こえました。うん、悲惨すぎて笑うしかない。



■本編前半
 メガネ姿のほむらが転校してきて、魔法少女5人でピュエラマギホーリークインテットとかいうなんか普通の魔法少女アニメっぽいことやってます。
 キュゥべえもキュウキュウなく普通のマスコットキャラのふりをしてますし、なぜかお菓子の魔女もマミさんのマスコットキャラになっています。
(後ろにいた女性客が「キュウじゃねえよ」「危ないマミられる!」とか反応してたのがやけに楽しかった)

 ここらへんの展開がもう完全に幸せすぎて「ああ、こりゃほむらさんの夢か妄想だな」とだいたい検討がつきました。
 なにかとまどかと二人っきりになるあたり、相当まどか不足が応えていたんだなあ……と。

 ですが、しばらくするとメガネほむらさんが違和感を覚えはじめます。過去の記憶が戻ってきているように。
 ここで一番最初に相談するのが杏子というあたりが、ほむらさんだなあと。そういえばTV本編で時間停止能力を最初に教えたのも杏子にでしたね。
 見滝原市から出られないことを知ったほむらさんは、メガネを外して三つ編を解いて本気モードに。
 ここでちょっと面白かったのが、バス停っぽいところにあった「Vidi Veni Mitakihara」の表記。ユリウス・カエサルの「来た、見た、勝った」が元ネタだろうと思うので、「見た、来た、見滝原」って感じの韻を踏んだ観光コピーになるんでしょうか。



■「叛逆の物語」の英題は「Rebellion」
 魔女の結界に閉じ込められていると知ったほむらさんが、お菓子の魔女を拷問にかけようとしたところで、マミさんが登場し、マミVSほむらのバトルシーンの始まりです。
 ここ、最初は「ガン=カタとかただのお前の趣味だろ脚本家!」と笑いをこらえるのが大変でしたが、2回目に見たときはものすごいクオリティをじっくり堪能しました。しかもスタッフインタビューによると、脚本段階ではそこまで細かく書いてなかったそうな。ごめん疑って。
 ほむらの足首をいつの間にか縛っていたマミさんのリボン。2回目によーく見なおすと、お茶会でお湯を沸かしにマミさんが立ち上がったときに、意味ありげな笑顔をちらっと浮かべて、ほむらの足元で黄色いリボンを走らせている描写があるんです。こういう細かい演出大好きです。
 そしてマミさんバトルの後は、さやかちゃんも大活躍。ほむら最弱説が私の中で説得力を持ち始めました。そういえば魔法少女同士の戦いだといっつも不利だよねほむら。

 真相を知ったあたりからだんだん崩壊しはじめる日常風景。モブキャラの顔がぐちゃぐちゃになる中で、中沢君(最初に先生から質問された男子)が無事なあたりが愉快。お前、ほむらさん的に重要キャラなのね。

 壊れた日常で警戒感を高めるほむらさんでしたが、まどかが出てきたところで途端に顔がほころぶあたりがマジほむほむ。顔の返り血をぬぐって、身だしなみを確認するあたり乙女すぎる。そのうえ、押し倒されるというご褒美つき。
 まどかが一人の辛さを語る重要な伏線あったけどどうでもいいや!



■主役が犯人というアガサ的展開

 最初から犯人はほむらさんだと思ってたので、どうやってバラすのかなあと興味を持っていましたが、ソウルジェムの有効距離の設定を使ったあたりが上手いなあと感心しました。
 もし普通の魔法少女で意識不明になったとして、巡回バスに乗ってるわけだからまた同じ場所に戻ってこれるわけです。

 そしてついに自分が魔女だと知ったほむら。その瞬間に時計が十二時を指すところがシンデレラの隠喩でこういう演出大好きです。
 お菓子の魔女が、なぎさという魔法少女になりましたが、個人的にはわりとどうでもいい(ひどい)。

 そして魔女だと気づいたほむらに、キュゥべえからのわかりやすい設定説明ゼリフ。

ほむら:魔女(誕生一歩手前)
まどか:アルティメットまどか(封印状態)
さやか:魔女(浄化後)
マミ:魔獣世界の魔法少女
杏子:魔獣世界の魔法少女
なぎさ:魔女(浄化後)

みたいな感じ。この配置が初見のときはわからなくてちょっと混乱しました。



 そして魔法少女と浄化された魔女が力を合わせ、暴れるほむらを止めます。キュゥべえフィールド(適当命名)を叩き割り、観測していたキュゥべえ達を殲滅。アルティメットまどかによる救済の準備。
 横たわるほむらを助けようと、宇宙からアルティメットまどかが降りてくるあたりで、劇場のあちこちですすり泣きの声が聞こえます。すぐ隣にいた女性客も泣いてました。ですが

「このときを待っていた!」

 それを裏切るのがまどマギ!
 アルティメットまどかの力を奪い、ほむらは悪魔ほむらへと変化します。
 学園世界を再構成し、他の人たちの記憶を書き換え、ついでにキュゥべえをズタボロにするほむらさんマジほむらさん。


「愛よ」

 愛ならしかたない。
 でも過去の自分と立場を入れ替えて、オロオロしているまどかを眺めて楽しむとか、愛の形がマニアック過ぎるにもほどがあります。こんなレベルの高い変態ほむらさんははじめてです。





■さっきまで泣いていた劇場が全員ポカーンと

「君たちはなぜそんな顔をしてるんだい? まどかが日常に戻ってきて欲しかったんだろう? マミが生き返って幸せになってもらいたかったんだろう? さやかと杏子のイチャイチャシーンを眺めたかったんだろう? ほむらのかっこいい戦闘シーンが見たかったんだろう? ぜんぶ叶えてあげたじゃないか。なんだいその顔は。わけがわからないよ」

 なんかそう言われた気分。製作スタッフマジQB。

 つい十分前まで泣いていた皆様が呆然とした顔をしているのは貴重な経験でした。
 後ろにいた女性客なんて「なにが愛だよオラァ!」と叫んでたりするくらいです。

 しかし初見のときは呆然としましたが、そのあとじっくりと考え直してみると、やっぱり素晴らしい話です。
 TV版というか始まりの物語/永遠の物語で描かれていたのは究極の自己犠牲。それと相反するような究極の自分勝手が描かれていたのが最高でした。
 ほむらさんが「まどか、幸せ? 幸福は義務よ」とか言いそうで。

 ですが、だからと言ってほむらが悪者だというのも違う気がします。
 ほむらの願いは最初から一貫して、まどかの幸せだけ。だというのに、円環の理というのがどうも幸せそうじゃないみたいです。家族からも友人からも忘れ去られて一人ぼっちだし。なぎさの話からすると満足にチーズも食べられない生活みたいですし。
 そうとわかったら、まどかを救わずにいられないのがほむら。神様概念から分離させて、家族と友人は本物をさらって来て、用意した世界でいつまでも幸せに暮らそうというのです。これが好意でなくてなんなのですか。
 ……まあ、まどかの意思は完全に無視してますが。
 だけどそれを言ったらまどかだって、「あなただけでも救いたい」というほむらの願いを無視して、みんなのために自分を犠牲にする道を選んでいるわけですし。
 決まりは守らなくちゃだめだよとか最後に言ってましたが、まどかさん最終回で「邪魔するルールなんて壊してみせる。変えてみせる」とか言って宇宙法則を改変したので、やってることは悪魔ほむらと同じじゃないか!

 そう考えるとまどかとほむらは二人とも、お互いの願いを無視してお互いを幸せにしようとする、いびつな相思相愛ではないでしょうか。



■作品として客観的に評価すると

 悪魔ほむら大勝利! 希望のループへレディ・ゴーッ!
(思い入れが強すぎて客観的評価は無理の意味)



 ……映像作品としてみると、TV版よりもはるかに演出と隠喩が詰め込まれていて、とても1回では理解しきれない内容。
 正直私も1回目が終わった直後は「なにこれ?」と思ったのです。しかしそのあとゆっくりとストーリーを反芻してみるとどんどん面白くなり、2回目から本当に楽しめるようになりました。
 ですので、「1回見たけどいまいち面白いかどうかわからん」という人は、ぜひ2回目を見てください。きっと前より面白くなっているはずです。
 嫌だという人は椅子に縛り付けて5回くらい見せればきっと面白いといってくれるはず。きっとその方がその人にとっても幸せなはずだから…….

(意思を無視して幸福を強制する悪魔ほむら的発想)
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by ng-room | 2013-11-23 18:57 | 感想
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